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腸内細菌の働き(1)

人は腸内細菌と相互依存している

コッカス菌AD株

私たち人間の胃腸管内には、約300種類、100兆個の腸内細菌が棲みついています。

地球上のあらゆる生物は、相互依存関係にあるといわれるが、腸内細菌とその宿主である人間も、やはりそのような関係にあります。

腸内細菌は、人間が食べたものから栄養をもらって生きていますが、その一方では、人の生理機能に大きく寄与しています。
つまり、人間の健康維持のために、膨大な働きをしているのです。

その一部を見ると

  • 脂質代謝・糖代謝の改善
  • 肝臓・腎臓機能の活性化と保全
  • 腸内pHの安定化
  • 蠕動運動の活性化
  • 有害物質・発ガン物質の分解と排泄促進
  • 消化・吸収・代謝
  • ホルモンの産生
  • ビタミンの産生
  • 免疫機能の賦活
  • 病原菌・有害菌の増殖抑制
  • 感染防御 等々

「驚くべき働きです。これらをひとくくりにしていえば、”ホメオスターシス=恒常性の安定化”作用と言っていいでしょう。
体温や血圧、コレステロール、血糖など、体内は常に一定値を保つようになっていて、それを恒常性というんです。
それが何かで狂うと、成人病やガンなど体内からいろいろな病気が表れてくるわけです。
しかし、腸内細菌の恒常性を安定させる作用は、予想したよりはるかに強力でして、今ではもう治療方法のひとつとして、私は腸内細菌を手放すことができなくなりましたよ。」

6年前から、”腸内細菌コッカス”を使い始めた、仙台市・南仙台病院の新田院長は、成人病の治療が非常にやりやすくなったと語ります。

腸内細菌は、胃腸管内の決まった場所ごとに、それぞれの種類ごとに分布・定着して、全体がある種のバランスをとりながら働いています。
こうした腸内細菌の集まりを”腸内細菌叢”=腸内フローラと呼んでいますが、それがうまくバランスがとれていると、腸内細菌は充分に本来の働きをしますので、体の恒常性が正常に保たれ、健康が維持されます。

腸内細菌叢は、善玉菌と呼ばれる乳酸菌が90%で、悪玉菌と呼ばれる大腸菌などが10%のときが最もいい状態だといえます。

ところが、便秘したり、変なものを食べ過ぎたり、体調を崩したりすると、悪玉菌がワーッと増えて 腸内でニトロソアミンという発ガン物質など、体に害を及ぼす物質を産生します。
それらの物質が、体の恒常性を混乱させ、また免疫機能が低下するために、病気になりやすくなったりします。

コッカス菌AD株の発見

腸内細菌叢が異常になった場合、正常な善玉菌を補ってやることで、腸内細菌叢を正常化できるのではないか?

こうしたコンセプトから、善玉腸内細菌に機能性食品としての光を当てる研究が㈱アドバンスで始まりました。

腸内に棲みついている300種類の腸内細菌は、種類ごとに血清コレステロールを下げるものや、ステロイドホルモン、ビタミンを産生するもの、あるいは糖の吸収を抑制するものなどというように働きが異なりますが、まず生活習慣病の中で最も多い心臓疾患と脳卒中の原因となる動脈硬化症を引き起こす、血清コレステロール値を正常化させる腸内細菌を探すことになりました。

コレステロール値を下げる機能性食品として、動脈硬化症の改善や予防まで行うということになれば、よほど強力なコレステロール抑制の働きを持つエンテロコッカス菌を見つけ出さなければなりません。
腸内細菌は同じ種類であっても、一株一株が個性を持っており、働きの強いものもあれば、弱いものもあります。
私たちが同じ日本人でありながら、一人一人に個性があるのとよく似ています。

何百万株というエンテロコッカスを、一つ一つスクリーニングするのは、根気以外のなにものでもありません。
何年がかりで、ついにエンテロコッカス属フェカリス種の中の最強の一株が発見されました。

AD株の脂質蓄積抑制作用

エンテロコッカス・フェカリスAD101株と名づけられたその腸内細菌が、血清コレステロールの上昇を抑制する威力がいかに強力であるかよくわかります。

正常食ウサギの下行大動脈
高コレステロール食ウサギの下行大動脈
フェカリスAD株を投与した
高コレステロール食ウサギの下行大動脈
高コレステロール食を投与したウサギの下行大動脈(中)には、著しい脂質の沈着が見られます。
しかし、フェカリスAD株を投与した高コレステロール食ウサギの下行大動脈(下)には、あまり脂質の沈着は見られず、正常食(上)のものに近い状態となっています。

上図はウサギによる動物実験の結果です。
三群のウサギを解剖して下行大動脈の血管壁を比較しました。
高コレステーロール食のみ与えたものでは、著しいコレステロールの沈着が見られるが、同時にフェカリスAD株を与えたウサギの血管壁には、コレステロールの沈着はほとんど見られず、正常食を与えたもののきれいな血管壁と変わらなかった。

また、そのウサギの肝臓と腎臓も調べてみたが、高コレステロール食のみのものは、脂質の蓄積が全体的に見られて白っぽくなっていたのに対し、フェカリスAD株を高コレステロール食とともに投与したものは、正常食ウサギの健康な状態と変わらなかった。

腸内細菌フェカリスAD株は、動脈硬化症を引き起こす血清コレステロール値の上昇を抑え、肝臓と腎臓への脂質の沈着を完全に防ぎました。
これらの働きは、人間でもほとんど変わらないことが、まもなく人への治験で明らかになりました。
つまり、この腸内細菌コッカスを食べていれば、動脈硬化を防ぐことができ、肝臓と腎臓も守ることができるのです。

「予防だけではありません。高コレステロール食の摂りすぎで、すでに動脈に脂質の蓄積が認められ、高脂血症になってしまっている場合でも、腸内細菌フェカリスAD株を食べると、動脈内壁の脂質が消えていくんです。
まず、血清コレステロールの値が低下していき、やがて正常化したところで動脈内壁を調べると、きれいになっているんです。
この腸内細菌には、動脈に沈着した脂質を溶かして排泄する作用があるんです。
しかも、その働きは強力でして、これは治療上とても大きなメリットです」

南仙台病院 新田院長

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